2010.11.16
地場野菜にこだわりと技あり!
「小江戸川越農業探検」バスツアー
宅地化が進む新河岸駅近郊で先祖代々の農業を守る田中正宏さん(左)=藤間で |
バスで市内の生産農家を訪ね、ふるさとの農業を知る「小江戸川越農業探検」ツアーが16日に開かれ、事前に申し込んだ市民ら23人が参加しました。
農業探検は生産者と消費者の交流をテーマに、市農業研究団体連合会(江田肇会長)が毎年開催。宅地化が進む川越で、代々受け継がれてきた農業を守る人々と直に接することで、店頭で買うだけでは分からない苦労や商品へのこだわりや技などを知ることができる機会となっています。
探検ツアー参加者に有機肥料のバランスについて話す飯野芳彦さん(左)=今福で |
参加者は気温約6℃と冷え込む中、午前9時に新宿町の県川越庁舎に集合。市のマイクロバスに乗り込んでツアーに出発しました。
車内では農研連の吉田直樹副会長が案内役を務め、江田会長が「今年は春先の長雨と夏の猛暑で川越の農家も被害を受けた。きょうは、そんな中で一生懸命頑張っている農家の姿をぜひ見てください」と挨拶。
また、県川越農林振興センターの原聡・農業支援部長が「川越の農業は、北半分が水田地帯で南半分が畑作地帯。水田は県内で4番目の広さ。猛暑の影響で多くのコメが白くなりましたが、味は粘りがあっておいしいものが穫れました。ホウレン草・小松菜・チンゲンサイは県内1〜2位の生産量を誇り、枝豆はトップです」などと紹介しました。
カブの品種について話す飯野芳彦さん=今福で |
最初に訪問したのは、今福で路地野菜を栽培する飯野芳彦さんの畑。木材チップなどの有機肥料を使い、現在は2.3haで里芋・大根・ホウレン草・カブ・レタス・ブロッコリー・カリフラワーなどを栽培し、直売のほか市場・スーパーなどに出荷しています。「飯野さんのホウレン草は甘くておいしいので、朝市を狙って指名買いしている」というファンも。
飯野さんは見学者に「虫が付くのは野菜がストレスを感じている証拠で、適量の農薬できちんと管理してやれば虫は付かずおいしく育つ」「有機肥料もバランスが大切で、土によって合う合わないがある。鶏糞肥料は人間では霜降り肉にあたるほどカロリーが高く、畑によっては"体調"を壊す。こってりした肉をたくさん食べるとお腹を壊す人がいるのと一緒で、ただ栄養価の高い肥料を与えれば良いというものではありません」などと説明。
農業経営については、「労働対価を求めるなら農業はやっていけない。楽しみながらやらないと…」などと話していました。
近郊農業の難しさなどについて話す田中正宏さん=藤間で |
落ち葉や米ぬか・微生物菌などを混ぜた田中さん自家製の堆肥に参加者も興味津々=藤間で |
続いて一行は藤間の田中正宏さんの畑を訪問。田中さんは現在、185aの土地で大根・里芋・ホウレン草・水菜などを栽培し、直売のほかJAやスーパーに出荷。
落ち葉や米ぬか・微生物菌などを混ぜた自家製堆肥を使って栽培した里芋は2年連続で県知事賞を受賞。夏場の枝豆やトウモロコシは直売で完売するほどの人気とか。
田中さんは「農業を継続するのに重要なのは土づくり。土で自分のオリジナルの味を出すんです」と話し、自家製堆肥へのこだわりを説明。見学者の質問に丁寧に答えていました。
農業経営については、「寛永年間(1624〜1643)から代々ここで農業をやっているが、駅に近いために宅地化が進んで住宅に囲まれてしまった。10年ぐらい前から、かつて通勤のために家を建てた人が定年を迎えて家にいることが多くなり、堆肥のために植えた木々の落ち葉やにおいに苦情が増えた。木も切って減らしました」と近郊農業の苦労を吐露。
後継については「中2の息子が、たまに手伝ってくれます」と話していました。
地下100mから汲み上げた井戸水を使い、コンピュータ管理の下で栽培するミツバについて説明する金子さん(左)=大仙波で |
大仙波では、金子智一さんのミツバのハウス水耕栽培を見学。金子さんは35年前、減反や入院を機に水耕に転換。現在は4カ所のハウス約5,000坪(1.65ha)で従業員30人の有限会社としてミツバや柿・ミカン・カボスなどを栽培し、北は森岡・南は横浜まで1日1,700〜1,800箱(1箱1kg)のミツバを出荷しています。
金子さんは、「消費者の皆さんは農薬を心配しますが、一番触れるのが多いのは農家なので必要以上のものを使いたいとは思いません。薬が要らないように水は地下100mから汲んだ井戸水を使い、苗床は蒸気で高温殺菌しています」と説明。
農業経営については「12年ぐらい前まではミツバが高値で取り引きされたが、今は3分の1に下がってしまったので大変です」と話し、後継については「息子2人が跡を継いでやってくれるので安心です」と話していました。
ミツバの水耕栽培について説明する金子智一さん=大仙波で |
探検ツアーの参加者はこの後、鴨田の伊佐沼農産物直売所を見学。地場産野菜の昼食を挟んで農産物直売所「アグレッシュ」(城下町)、内田浩伸さんの生花栽培ハウス(小ヶ谷)、農業生産法人「ベジタホ」(的場)を見学しました。
「家庭菜園をやっているので初めて参加した」という桜井さん(下広谷)は「有機肥料を使った土づくりが参考になった。飯野さんの『鶏糞は肉で、木材チップは野菜。バランスが大切』という、肥料を人間の食べ物に例えた話が面白かった」と話していました。
また、浜谷さん(仙波町)と河野さん(西小仙波)は「農業の苦労がよく分かりました」と話していました。
(写真は今福、藤間、大仙波で) |