学童保育料値上げ案に対し質疑が集中した市議会(イラスト) |
公設公営の事業でありながら、実際の運営を民間団体に依存してきた川越市の学童保育。
24年間据え置かれたままになっていた学童保育料を、市が来年度から段階的引き上げを決めたことについて、現在開催中の市議会第5回定例会(三上喜久蔵議長)で質疑が集中。
「なぜ今値上げなのか?」「保育料以外に学童保育の会に会費を払う必要があるのか?」など、本会議で6人が市の考えをただしたのに続き、8日に開かれた文化教育常任委員会でも7人が値上げの妥当性についてただしました。
今回の条例改正は、来年度から学童保育料を現在の月3,000円から段階的に引き上げ、2015(平成27)年度には8,000円にすることと、これまで市民税非課税世帯と生活保護受給世帯に対して適用してきた利用料免除措置に加え、新たに児童手当受給世帯と就学援助受給世帯に対して減額措置を追加することの2つが大きなポイント。
年度別の学童保育料(案) |
実施開始年度 |
月保育料 |
減額措置 |
現行保育料 |
3,000円 |
なし |
2012(H.24)年度〜 |
5,000円 |
2,500円 |
2013(H.25)年度〜 |
6,000円 |
3,000円 |
2014(H.26)年度〜 |
7,000円 |
3,500円 |
2015(H.27)年度〜 |
8,000円 |
4,000円 |
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値上げについては1995(平成7)年と2002(同14)年に検討されましたが、保育料以外の保護者負担に配慮するなどで見送られてきました。
その後、2005(同17)年の包括外部監査や2009(同21)年の市学童保育問題懇話会などで「学童保育を利用する家庭としない家庭で税負担に不公平が生じる。受益者負担の観点から保育料を見直すべき」とのの提言を受けて三たび値上げを検討。昨年には川合善明市長が12月定例会に上程を見送った経緯があり、1年の歳月を置いての上程となりました。
上程案に対し、11月28・29日に開かれた本会議では吉野郁惠(やまぶき会)・山根史子(民主党)・小林薫(プロジェクト川越21)・柿田有一(共産党)・桐野忠(公明党)・高橋剛(市民フォーラム)の各市議が、学童保育の経緯や実情・値上げの理由などについて相次いで質問。
学童保育料以外の保護者負担(例) |
名 目 |
負担額 |
保護者会費 |
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教 材 費 |
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おやつ代 |
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「学童保育の会」会費 |
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月 刊 誌 代 |
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吉野郁惠市議 |
「保育料以外に保護者が負担しているものは何か?」(吉野氏)に対し、根岸孝司・教育総務部長が「一例として、保護者会費400円・教材費300円・おやつ代1,900円・学童保育の会の会費2,000円・月刊誌代330円などがあり、保育料以外に月4,600〜5,000円程度の負担があると聞いている」と回答。
山根史子市議 |
小林薫市議 |
「学童保育の会への入会は義務なのか、拒否できないのか?」(山根氏)の質問には、根岸部長が「(同会は)任意団体で、入会するかどうかは、あくまで保護者の自由」と回答。
「入会は自由と言うが、同会の規約には『全員加入』とうたっている。市が保育料を免除している家庭からも月1,000円の会費を徴収するなど、会は1,000万円前後の次年度繰越金も出している。市とは無関係な団体と明示すべきではないか?」(小林氏)には「全員加入の表記は保護者の誤解を招いており、規約から削除してもらうよう要望している」と答えました。
柿田有一市議 |
また、「市長は昨年の上程を見送り、更に説明を徹底するよう現場に指示したとされるが、見送った理由・指示内容と手応えは?」(柿田氏)には、川合市長が「昨年は説明会が全て終了していないなど諸般の事情で上程を見送り、説明会を継続するよう指示した。説明会継続や全保護者へのアンケートを実施したことなど、概ね行われたと認識している」と答弁。
「32カ所ある学童保育室全ての状況を市は把握しているのか」(同)の質問には、新井孝次教育長が「学童保育の会や保護者に運営を頼っている部分があり、全て把握しているとは言えない。学童保育室は公設公営の施設なので、今後は実態を把握して主体的に充実に努力していきたい」と答えました。
川合善明市長 |
桐野忠市議 |
「学童保育の会費やおやつ代など、保護者は市が徴収するより多い金額を支払っている実態があるが、市長は今回の改訂をどう決意し、どう改善したいのか?」(桐野氏)には、川合市長が「公設公営でありながら、運営面では学童保育の会にかなり依存している実態があり、これまで市の力の入れ方が足りなかった部分がある。運営主体を明確にしないと責任の所在がはっきりせず、運営にも透明性がなくなる。公設公営のままで行くのか、民営にするのか指定管理者の形にするのか、保護者の人たちと十分議論しながら学童保育に取り組んでいきたい」などと答えました。
高橋剛市議 |
「2人以上子どもを預けている家庭の減免措置は?」(高橋氏)には、根岸部長が「今年度当初に学童保育を利用している1,667世帯のうち2人預けているのが219世帯、3人入室が8世帯あるが兄弟割引はない。今後検討したい」と回答。
上程案は文化教育委員会(山木綾子委員長)に委託され、引き続いて審議が続けられることになりました。
中村文明市議 |
明ヶ戸亮太市議 |
三浦邦彦市議 |
牛窪多喜男市議 |
中原秀文市議 |
本山修一市議 |
若狭みどり市議 |
8日午前10時から開かれた常任委では、中村文明(公明党)・明ヶ戸亮太(みんなの党)・三浦邦彦(自民クラブ)・牛窪多喜男(市民フォーラム)・中原秀文(やまぶき会)・本山修一(共産党)・若狭みどり(公明党)の7市議が質問。
「新たに設置される減額措置の割合は?」(中村氏)には、小林勝彦・教育財務課長が「保育料の2分の1を予定」と回答。「保護者に説明する場は何回設けたのか?」(明ヶ戸氏)には、小林課長が「昨年10月に2回の説明会を開いた後、19の保育室で個別に説明しました」と答えました。
「値上げの話はいつ始めたのか?」(三浦氏)には、小林課長が「昨年8月から」と回答。「値上げは覚悟していたから反対ではないが、突然知らされて驚いている保護者が多いと聞くが?」(牛窪氏)には、根岸部長が「保護者の代表には説明してきたが、保護者一人ひとりに伝わっていなかった。公設公営と言いながら、これまで保護者と直接意見交換の場を持ってこなかったと反省している」と答えました。
「8月に行った保護者アンケートで、値上げに対する意見は?」(中原氏)には、根岸部長が「1,618枚のアンケートに76.9%が回答。値上げに反対は14.4%だった」と答弁。「保護者代表とのプロジェクト会議を今年5回開いたと言うが、値上げの詳しい内容は説明したのか?」(本山氏)には、小林課長が「6月30日には値上げ案を提示し、7月27日には今後のスケジュールを示して早ければ12月議会に上程される可能性について話した。内容については理解されていると思い、詳しい説明はしなかった」と答えました。
「学童保育室の今後の整備予定は?」(若狭氏)には、小林課長が「現在、唯一学校から離れて設置されている高階南の学童保育室について、来年度2,030万円掛けて高階南小の空き教室を改修して移転させたい」と回答。
これらの質疑に続く討論はなく、牛窪委員が退席する中で採決が行われ、本山委員を除く賛成多数で上程案は原案通り可決されました。委員会採決の結果は16日の市議会最終日に報告され、全議員の裁決によって決定される予定です。
これまでのやりとりで、学童保育は1970(昭和45)年に民設民営として月越小内に留守家庭児児童会として発足して以来、41年間にわたり実質的に民間団体の「学童保育の会」に市が運営を依存してきたこと、1982(昭和57)に公設公営に移行し1987(昭和62)年から市が保育料を徴収するようになってからも、正規の保育料以外の保護者負担に配慮して値上げに踏み切れなかったことなどが、あらためて浮き彫りになりました。
公設公営の事業である以上、全責任は市が負うべきもの。大震災や計画停電・発砲事件などが相次ぐ中、児童にもしものことがあれば大きな問題。
これに対し、市ではこれまで臨時職員として雇用してきた指導員に加え、来年度からは再任用の正規職員を責任者として配置していくとしていますが、当初の予定は5人。32室ある学童保育室全てをきちんと管理するには不十分な体制。
今回の値上げ案上程では、市は保護者らに十分な説明が尽くせなかったことを認めており、「来年度からの改正までに説明を徹底したい」としていますが、今後の運営の在り方について課題も多く、保護者らとの協議・意見交換や運営形態の検討など問題が山積しています。 |
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