川越まつり 2009.01.10

公開討論の2人、意見の差は…
 川越市長選に出馬予定の川合・細田氏

公開討論の場で意見を述べる細田照文氏(壇上左)
意見を述べる細田照文氏(壇上左)
公開討論の場で意見を述べる川合善明氏(壇上右)
意見を述べる川合善明氏(壇上右)
壇上で西尾氏(左)の質問に答える細田氏(中央)と川合氏(右)
市の財政問題について西尾氏(左)の質問に答える細田氏(中央)と川合氏(右)
 川越青年会議所(肥沼靖久理事長)は10日午後7時から郭町のやまぶき会館で、18日告示・25日投票の川越市長選の出馬予定者をパネリストに招き、公開討論会「川越のまちづくりを考える市民集会」を開きました。16年ぶりに誕生する新しい市長を選ぶ選挙を目前に市民の関心も高く、508席の会場はほぼ満員となりました。

川合氏と細田氏、新人2人が出席
 この日 出席したのは、川合喜一前市長の次男で弁護士の川合善明氏(58)と、前副市長の細田照文氏(68)の新人2人(出馬表明順)。
 討論会は、早稲田大学マニフェスト研究所の客員研究員・西尾真治さんがコーディネーターを務め、市民団体の「川越の将来を考える会」(呼び掛け人:笹森清氏、馬場弘氏)などが作成し、事前に2人の出馬予定者に提示していた「市民マニフェスト(逆マニフェスト)」の質問内容に沿った形で進められました。
 討論会に先立ち、笹森氏が市民マニフェストを作るに至ったメンバーの思いや経緯、マニフェストの役割や意味などを説明しました。

主催者として挨拶する川越JCの肥沼靖久理事長
主催者として挨拶する川越JCの肥沼靖久理事長
「市民マニフェスト」について説明する笹森清氏
「市民マニフェスト」について説明する笹森清氏
コーディネーターとして2氏に質問する西尾真治氏
コーディネーターとして2氏に質問する西尾真治氏
重要施策や行財政改革など多くの意見で共通点
 討論会のテーマは、大きく分けて「基本理念(市政の現状認識とビジョン)」「重要施策」「行財政改革の具体策」「経済活性化の具体策」「その他の重要課題」の5つ。安心・安全なまちづくり、地産地消・地場産業の振興、小学3年生までの医療費無料化、中心市街地や道路の整備、交通渋滞の緩和、情報公開の徹底、行財政の見直しや無駄廃止、緊急雇用対策など、表現の違いはあるものの両者には共通する部分が多く見られました。
 当初、争点になるのではとされていた市庁舎移転問題でも、細田氏が「舟橋市長が構想を打ち出した当時と今とでは、経済情勢がまったく違い、実現は難しい。市民の意見を十分に聞いて一から検討すべき」としたため、「市民の意見を十分聞かずに移転計画を推し進めることは、絶対反対」とする川合氏とで意見に差が出ませんでした。

保育園待機児童や高齢者医療に微妙な差
 その中で微妙に異なっていたのは、重要施策の中で両者が挙げた「保育園待機児童の問題」について、川合氏が「減らす」と表現したのに対し、細田氏は「ゼロ作戦」と表現。「学校耐震化問題」について川合氏が「4年以内に全ての小中学校を」としているのに対し、細田氏は「保育園・学校の耐震化を推進」と対象や期限などが違っています。また「高齢者の医療費負担」について、川合氏の「後期高齢者を無料化」と細田氏の「高齢者の入院に対し2万円程度を助成」も対象や対応に差が見られます。川合氏は「新斎場の建設」を、細田氏は「自主防災・防犯の組織率100%目標」を重要施策の一つに掲げています。

行財政改革、川合氏は外郭団体・細田氏は公有地整理に焦点
市長選を目前に市民の関心は高く会場は満員
市長選を目前に市民の関心は高く会場は満員
 「行財政改革に対する具体策」では両者とも市長の報酬・退職金の見直しについてふれ、川合氏は「20%カット」とし細田氏は「報酬審議会を常設して諮る」としたほか、川合氏は外郭団体の見直しを挙げ、細田氏は公有地・建物の整理・処分を挙げています。

低い都市計画税の見直しに意見の差
 目立って差が見られたのは、16年間税率が軽減され続けている「都市計画税について税率を見直すべきと考えるか」の問いで、川合氏は「減税で市財政にロスが生じ、必要な道路整備などが遅れている。見直しを検討すべき」と答えたのに対し、細田氏は「都市整備が半ばの段階では、増税すべきではない」と回答していました。

時間の制限で十分な説明や自由な意見交換は聞かれず
 質問に対する回答時間はそれぞれ1〜2分に限られ、個々の政策についての十分な説明や自由な意見が交わされるといった場面は見られませんでしたが、会場を埋めた市民らは両氏の人柄や考え方を知ろうと真剣に聞き入っていました。
 下の表は、それぞれの意見・回答を要約したもので、政策に差が見られるものや独自性の高いものは赤い文字にしてあります。(写真は郭町のやまぶき会館で)

【基本理念】川越市政の現状認識と目指すべき川越市のビジョンは?
質問内容
細田照文氏(壇上左)
川合善明氏(壇上右)
現状認識は?
川越市の財政も厳しいが、農・工・商のバランスが取れており、財政力指数は35の中核市で4番目に良い。子ども医療費の無料化年齢引き上げ・1%節電・観光客増加など評価される施策は発展させ、見直すべきものは大胆に変えていくべき状況。市民の夢や希望を打ち砕かぬよう着実な市政が求められている。
川越市にはまちづくりに対するビジョンがなく、都市計画道路の建設などが大きく遅れている。観光客が増え市街地の交通渋滞も深刻。情報公開も不足しており、本当は財政状態が厳しいのに広報では「健全」と言っている。市庁舎移転も唐突。長期市政でしがらみ・私物化の弊害もあり、「新しい風」が必要。
最大の課題は?
交通渋滞の緩和
道路建設(渋滞解消)
ビジョンは?
子どもたちが将来に夢を持ち、高齢者が生き生きと暮らし、現役世代がはつらつと活動する街にするため「衣・食・住・環・観の安全と安心」を提唱。限られた財源を効果的に使い、「住んで良かった川越」から「住みたくなる川越」にしたい。
一人ひとりが市民として人間として尊重される川越市に。一生涯、安全で安心して暮らせて良かったと思えるまちにする。20年・30年後を見据え、計画的な行政を推進。政令市を目指し、市民の声を聞きながら近隣都市と合併を検討したい。
キーワードは?
「住んで良かった川越」から「住みたくなるまちに」
「安全で安心して暮らせて良かったと思えるまちづくり」
【重要施策は?】優先度の高い順に3つ
優先順位
細田照文氏(壇上左)
川合善明氏(壇上右)
1.
「人」の安全と安心を確保。小学3年生までの医療費を無料化。約3億円をかけ、市民の理解を得ながら無料化の年齢を引き上げる。妊産婦健診の無料化、「保育ママ」の育成や保育ステーション創設による保育園待機児童のゼロ作戦、学童保育の充実など、子どもたちの未来への種まき事業を進める。収入の少ない高齢者の入院に対し、2万円程度を助成する制度を創る。
川越の将来を担う子どもたちの安心・安全を守る。4年以内に全ての小中学校校舎・体育館を耐震化。安全な通学路の確保・整備を進める。後期高齢者の医療費無料化と併せ、まず小学3年生までの医療費窓口負担をゼロに。乳幼児健診を充実。保育園待機児童を減らし、幼稚園児の就園支援費を増額。児童虐待防止のため、SOSセンターを設置する。
2.
「食」のの安全と安心を確保。
市民が安心して食材を求められるよう、農産物の地産地消を進める。
学校給食に使われる地場産食材の割合を、30%以上にする。
食育推進計画を策定する。
遅れているまちづくりの推進。中心市街地の交通渋滞解消のため、右折車線新設など交差点改良や交通規制を実施。郊外型駐車場を整備し、パーク・アンド・ライドを推進。観光客数を競うのではなく、来た人が満足でき地元が潤う観光を興す。鶴川座など観光資源を開発し活かす。新市庁舎は交通渋滞や地域への影響、市全体のまちづくりを考えて市民・議会と話し合って検討する。周辺市街地は地域の特徴を活かし、住民と協働でまちづくりを進める。
3.
「住」の安全と安心を確保。住宅の耐震診断、保育園・学校の耐震化を推進。生活道路の点検・改善を行う。自主防災・自主防犯の組織率100%を目指す。洪水対策、中心市街地の水害対策を緊急に行う。
日々の暮らしが安心できるまちをつくる。急速に高齢化する川越市の緊急課題として、老朽化して使いにくい斎場に替わる新斎場を早急に建設する。
【行財政改革の具体策(3つ)は?】
具体策と
追加質問
細田照文氏(壇上左)
川合善明氏(壇上右)
1.
市長の報酬を審議する市民委による「報酬審議会」を1年以内に常設し、透明性を高める。行財政改革の実施状況をチェックする市民会議をつくってオープンに審議、官・民の協働を進める。
市議会に条例改正を提案し、議決後速やかに市長の報酬・退職金を20%カットする。
2.
1年以内に市長公用車を廃止し、一般の公用車やタクシー利用に切り換える。市長室は執務スペースだけに減らし、空いた所を市民との対話や会議などに有効利用する。
全事業を洗い直し、任せられるものは速やかに民間委託する。指定管理者制度を拡充し、公募制を徹底、官・民が入札で競い合う「市場化テスト」を行う。大規模工事には維持管理費を含めPFI手法を採用し効率的で高い住民サービス確保を目指す。
3.
収納率向上のため、3年以内に収納促進体制を充実。サンセット方式を採用し広域連合などの活用も検討、弱者救済の措置を講じる。市内公有地の有効利用を進め、不要な土地・建物を処分するなどして約25億円の歳入増に努め、市民に還元する。
既に役割を終えた外郭団体・業務が類似したもの・赤字の外郭団体は、速やかに大胆に整理・統合する。市職員の天下りを廃止する。
これで十分だと思うか?
あらゆる事業を見直して伸ばすべきものは伸ばし、スクラップ・アンド・ビルドで進めるべき。
情報公開の徹底など、開かれた市政を重点に行政改革も行っていきたい。
組織体制・行政の進め方は?
市民の意見を十分に聞いた上で実行していく必要がある。
組織体制や仕事のやり方についても、改革を進めていかなければならない。
開かれた市政をどう考えるか?
今まで以上に開かれた市政を行っていくことは当然な事だと思う。
情報公開を徹底して市民に情報を提供することが必要と考える。
都市計画税は低いままでいいのか?
東京都下の全市や、県内9市のうち5市でも都市計画税を軽減している。都市整備が半ばの段階では、増税すべきではないと考える。
減税により16年間で、市の収入が200億円近くロスしている。その分で道路整備などが順調に進められたはず。見直しを検討すべきでは。
【経済活性化の具体策は?】優先度の高い順に3つ
具体策と
追加質問
細田照文氏(壇上左)
川合善明氏(壇上右)
1.
ロケスタジオの設置など、NHKの朝の連続テレビ小説「つばさ」放映に連動した観光事業を進め、受け入れ体制を強化し観光客1000万人を目指す。通過車両用の環状線の整備、駐車場の確保、高速バス利用の促進などを計画的に行う。
業績悪化を理由に解雇されたり契約更新されなかった社員や非正規労働者を対象に、緊急雇用対策として市の臨時職員を採用する。新たに雇用する市内の中小企業には、補助金を交付する。特に女性・高齢者・障害者の雇用を優先して支援する。
2.
農・工・商とも県下3位以内という川越の資源を活かす。地産地消を推し進め、学校給食の地場産率を向上させる。1億円をかけ、3年以内に市内の東西南北に農産物直売センターを造るなど、地場産業の活性化を図る。行政として工業・商業の川越ブランド化をバックアップする。
「商人のまち川越」復興・発展させるため、後継者対策・商業活性化事業を進める。地産地消を進め、地場産業による食の安全づくり・エコな農業・無農薬栽培など「安心・安全な川越の農産品」を、農産物直売常を設けるなどしてアピールする。
3.
緊急に「景気・雇用対策室」を設置し、国・県の施策に即応体制、中小企業融資の利子補助、独自の雇用創出を行う。失業者の臨時職員採用で雇用拡大を進める。
地元企業の求人と離職者の求人とをマッチングさせるための雇用創出センターを設置。団塊世代の能力活用。地域活動を支援するため、ワーカーズコレクティブの設立を援助する。
中心市街地活性化について
文化財がたくさんある市として大勢の観光客が訪れるわけで、更に文化財を掘り起こし磨きを掛けることに対しては積極的に支援する。 観光資源の鶴川座・織物市場・山崎家別邸などを活用し活性化を図る。周辺地域のまちづくりも、その地域に合わせて考えていかなければならない。
市街地の交通対策について
環状線を整備して、通過車両を市街地から離すことで渋滞を減らす。一番街の通りは時間を決めて歩行者天国や一方通行にし、観光客の安全を確保する。交差点の改良も検討する。 右折車線を設けるなど交差点を改良や一方通行の導入で、ある程度の渋滞は緩和できる。パーク・アンド・バスライドの導入も、やっていかなければならないと考える。
つばさ効果など観光客増の対応は? 郊外の観光客駐車場を拡充し、パーク・アンド・ライドなどバス利用をフルに活用する。 経済効果220億円という試算もあるが、楽観視はしていない。立ち寄るだけの観光客が増えるだけではないか。川越に来た人に、周辺の農園や観光資源にも立ち寄ってもらうような施策が必要だと考える。
【その他の重要課題は?】具体的に3つ
優先順位
細田照文氏(壇上左)
川合善明氏(壇上右)
1.
【一から始めるエコ推進】
市民1人当たりの廃棄物を100g減らす、1坪から緑化を始める、1リットルから雨水を貯めるなど、「1」から始めるエコ推進運動を4年以内に進める。手軽さ・分かりやすさを強調し、市民誰もが参加できるよう、行政が働き掛ける。
【小中学校を4年以内に耐震化】
複数校をグループ化して工事を効率化し、PFI手法などで経費を削減。できる限り早く全校耐震化を図る。
2.
【待機児童ゼロ作戦】
保育園に入れない子どもや子育てに悩む保護者の課題を解消するため、「保育ママ」制度の活用・幼稚園の預かり保育との連携・保育ステーションの設置など、4年以内にあらゆる策を講じる。家庭で子育てをする保護者の悩みを解消する場として、市内各地域に「つどいの広場」を開設する。
【市街地の交通渋滞を4年以内に解消】
一方通行や交差点改良などで、当面の渋滞解消を緊急課題として実施。郊外型駐車場を整備し、パーク・アンド・バスライドを行う。並行して交通マネジメントを実施し総合的な交通施策を創る。
3.
【駅とシャトルバスの改善】
新河岸や本川越など、鉄道と協力して4年以内に両口改札化する。シャトルバスをコミュニティバスとして明確に位置付け、土・日ダイヤ導入を検討する。乗り合いタクシーについても研究する。
新斎場の建設
PFIなど民間活力を活用し、高い市民サービス確保と財政負担軽減を図りながら早急に整備する。事業費については施設の規模、立地により市民・議会の意見を聞きながら決める。
【その他の市政についての質問】
質問内容
細田照文氏(壇上左)
川合善明氏(壇上右)
【市庁舎の移転問題についての考えは?】
現市長が市庁舎移転を考えた当時と現在とでは経済情勢が一変しており、当初の案で造ることは非常に難しい。市議会に設置されている特別委員会や市民参加の検討委員会で検討していきたい。
新築するのか、場所をどこにするのかなどを含め、一から検討し直さなければならない問題だと思う。市民の意見を聞き、移転した場合の影響などを全て検討した上で進めていくべき。
【広域市町村合併についての考えは?】
将来的には考える必要はあるが、行財政改革を進め、いろいろな事業を実施した上での事だと思う。
真剣に検討を開始する。最終的には住民・市民の意見で決めるべき。
【政令指定都市を目指す考えは?】
合併する以上は、政令市になるような規模で合併すべき。
長期的にはその方向で行くべきと考えるが、まずは本来中核市に与えられた様々な権限や機能を充実させるべき。
【マニフェストを実行するための仕組み・進捗管理の方法は?】 テレビなどを利用して達成状況を情報公開し、マニフェストが実行されているかどうか、市民がチェック・検証できる仕組みを作りたい。
外部の委員が入った検証委員会で監視・チェックする仕組みを作っていきたい。市民の行政参加を促す条例を作って協働し、情報公開してマニフェスト進捗の評価を受けられるようにしたい。

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