2010.01.30

たぬき先生が子育て術
 小児科医の毛利子来さんが川越で講演

気取らない語り口で参加者の質問に答える毛利子来さん
気取らない語り口で参加者の質問に答える毛利子来さん

あの「たぬき先生」が川越に
 「たぬき先生」の愛称で全国で親しまれる小児科医・毛利子来(たねき)さんが30日、郭町のやまぶき会館で講演。
 事前に参加を申し込んだお母さんやお父さんら約260人が、具体的な育児のアドバイスを直に聞きました。

80歳の今も現役の小児科医
 これは、川越市子育て支援課が主催した「国際児童年30周年記念 子育て講演会」。
 毛利医院(原宿)の院長として、80歳の今も現役で診療にあたっている毛利さんは「ひとりひとりのお産と育児」「育児の百科」「育育児典」など50冊以上の著書や講演を通じ、世代を超えお母さんたちの育児指針として信頼を集めています。
 また、育児相談や子どもたちの居場所づくりにも積極的に活動しています。

待機児童解消など子育てに重点
 講演に先立ち、主催者を代表して川合善明市長が挨拶
 「毛利先生の本は分かりやすく、若いお母さんを元気付ける内容で、実は私の女房も昔、子育てのときにを読ませていただきました」と自らのエピソードも披露。
主催者を代表し挨拶する川合善明市長
川合善明市長
講演会は手話通訳も
講演会は手話通訳も
 川合市長は「近年、児童虐待・ひきこもり・不登校・いじめなど子どもたちを取り巻く問題が深刻になっている。市では、要保護児童対策地域協議会をつくって虐待の早期発見や防止に努めています」と紹介。
 「川越市では重点施策として、保育園待機児童解消や小学生の医療費無料化を目指しています。昨年は健康長寿奨励金を廃止し、長寿祝い金に改めて浮いた予算を保育園整備の補助基金に充て、来年度は300人以上の定員増が図れる見通しです。また、川越市は県内で不登校児が一番多く、解消に力を入れていきたい」と話しました。

「地域を含めた皆で育児すべき」
 午後2時半から始まった講演会は、講演と質疑応答の2部で構成。講演で毛利さんは「偉そうで堅苦しい」と演壇から離れ、マイク片手に話し始めました
 この日は市が託児サービスを提供しましたが、毛利さんは「子育て講演会なのに、親だけが聞き子どもの姿がない。子どもにも聞いてほしかった」と残念そう。
独自の育児法を話す毛利子来さん
独自の育児法を話す毛利子来さん
 毛利さんの育児論は多岐にわたり、独自の考えを率直に話していきました。
 この日のテーマである「育てあう子育て」については、「育児のやり方や考え方は、お父さん・お母さん・お祖父ちゃん・お祖母ちゃんでそれぞれ違う。ましてや周りの人一人ひとりは、さらに違う。どれが正解というものではなく、子どもの個性に合わせて変え、話し合い試行錯誤しながらやっていけばいい」と話し、「子どもにとっては、いろいろな考え方の大人がいることや、同じ人でも状況や機嫌によって変わることを知り、違った接し方を覚えていくことも重要」と、子どもは地域を含めた皆で育て、助け合うことが大切なのだと訴えました。
 また、行政に対し「子育てに困っているお母さんを助ける、経験を持った世話好きな人たちを紹介するようなシステムづくりを」と呼び掛けました。

「マニュアルにこだわらない育児を」
 毛利さんは「親の言うことをそのまま聞いていたら、子どもは『自分』ができていかない」と話し、「子どもは自分で『自分』を作り上げていくもので、生まれて間もない子どもほど、それは強い。育てる・導くという一方通行ではなく、その子の個性を尊重すべき」と話しました。
参加者の質問一つひとつに分かりやすくアドバイスする毛利子来さん
参加者の質問一つひとつに分かりやすくアドバイスする毛利子来さん
 また、「マニュアル通りで子育てはできない」と話し、「子どもは一人ひとり皆違う。けんかしたり抱き合ったり、子どもとやり合いながら探っていくもの。育児書は参考でしかない。何冊も育児書を書いている私が言うんですから」と、型にはまった育児にこだわらないよう訴えました。

「血液検査で食物アレルギーは分からない」
 3時20分すぎからは、参加者がそれぞれ抱える疑問や悩みを相談。1時間以上にわたり、毛利さんは一つひとつに丁寧に分かりやすく答え、さまざまな育児書や異なる医者の声に戸惑うお母さんの不安を和らげていきました。
 食べ物アレルギーの悩みには「食べ物のアレルギーは血液検査では分からない。実際に少しずつ食べさせて反応を見るのが一番。ちょっと口の周りが赤くなるくらいで制限していたら、食生活が非常に貧しくなる」「乳脂肪の代わりに植物油を入れたフォローアップミルクより、安価で栄養価に富んだ牛乳を飲ませるべき。駄目なら卵や魚を試してください」とアドバイス。

「アトピー疑う前に乾燥肌の処置を」
 アトピーについては「生後半年ぐらいから2歳ぐらいまでは、肌がカサカサする時期で、ただの乾燥肌であることが多い。アトピーを疑うより、ベビーオイルや大人の保湿クリームなどを塗って様子を見てください」と、早計に判断して不要な薬を使うことのないようアドバイス。

「発熱より子どもの様子に注意」
 「医者は、やたら検査し分類して病名をつけたがるが、子どもはしょっちゅう病気をしながら免疫力や抵抗力を付けていくもの。抗生物質や解熱剤など、すぐに使ってしまうと自分で治す力を奪ってしまう」「熱の高さと病気の重さは比例しない。熱は病気を治すために出るもので、下げればいいというものではない。高熱でも元気ならば心配ないし、熱がなくてもぐったりしていたら診察を受けるべき」と、「子どもの機嫌や状態を見て判断してほしい」と話していました。

「離乳を急ぐ必要はない」
 母乳の継続を悩むお母さんには「子どもの成長に問題がないようなら、母乳を無理にやめる必要はない。自然に任せるべき」と、早期離乳が流行ったアメリカも今では反省して母乳継続になっている例などを挙げ、子どもの様子に合わせて対応することの大切さを話していました。
(写真は郭町のやまぶき会館で)






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