2008.09.23 「川越の将来を考える!」シンポジウム

川越をどんな街にしたいか
 〜マニフェストと逆マニフェストについて〜
川越の未来を考えるシンポジウム 川越の将来を考える会(呼び掛け人:笹森清さん、馬場弘さん)主催の「川越の将来を考える!」シンポジウムが、秋分の日の9月23日午後6時から約3時間、郭町のやまぶき会館ホールで開かれ、自由参加の市民ら約200人が講演やパネルディスカッションに聞き入っていました。

馬場弘さん
 この日はまず、会の呼び掛け人で共和木材社長の馬場弘さん(喜多町)が、司会者として「まちづくりは人と人とのつながり・話し合いから始まる。勇気を出して行動を起こしましょう」などと挨拶しました。

 「市民も『逆マニフェスト』を提示するべき」 
曽根泰教さん
 続いて、慶應義塾大大学院の曽根泰教(やすのり)教授が「マニフェストと逆マニフェスト〜川越をどんな街にしたいか〜」のテーマで講演しました。曽根さんは「政権を目指す者が、これまでの『公約』とは異なり、本当に約束が守られるか具体的に検証できる『マニフェスト(誓約)』を掲げて選挙に臨むのは、当たり前な時代になってきた。有権者の側も、従来のわがままだけの『陳情』や『要望』ではなく、『こうすれば実現するはず』という、きちんとした提案型の『逆マニフェスト』を提示しなければならない」などと話しました。

 パネリスト6人と観客で討論 
やまぶき会館で川越の将来を考えるシンポジウム 続いてパネルディスカッションでは、日本労働組合総連合会「連合」の前会長を務めた笹森清さん(南通町)をコーディネーターに、高千穂大理事で大学院教授の新津重幸さん(川越市の中心市街地活性化推進協議会の責任者)、城西国際大観光学部教授の溝尾良隆さん(川越市の観光基本計画の立案責任者、上寺山)、東洋大ライフデザイン学部教授の内田雄造さん(川越市の都市計画審議会の会長)、元県健康福祉部長で現在は主婦の井上晶子さん(川越市の前助役)がパネリストとして討論。基調講演の曽根教授や観客席の市民らも討論に参加しました。会場には川越市議会議員や国会議員らの姿も見られました。

 
討論会の主なやりとりは次のとおりです。(要約・敬称略)
笹森清さん
笹森「今までマニフェストは国政のものだったが、2003年にローカルマニフェストがスタートした。全国の1800市町村の首長選挙でマニフェストを提示しているのは、ほとんどないようだが、これからどう定着させていくか。逆マニフェストが『陳情』にならないようにするには、具体的にどんな事に心掛けたらいいのか」

曽根泰教さん
曽根「首長レベルでは、公約として出したものをマニフェストの水準に上げる努力をしている人は半分。市は総合計画(10年計画)に沿って行政を行っている。選挙で訴えた政策は候補者が勝手に市民と約束したものなので、市は政策を変えないため実現が難しい。政治家は、総合計画とマニフェストを調整しなくてはならない。市民の提言は現場の情報が込められているが、個別の問題に特化していて全体とのつじつまが合わず、予算の問題などで誰かの政策を削ることになる。政治は、私も我慢、あなたも我慢、の話し合いのプランを作るプロセスが重要になる。市民は要求型になってはいけない。アイデアを議論する過程で体系化するプロセスが必要」

井上昌子さん
井上「行政は一貫性・継続性のある総合計画に沿って行われており、人が替わったからといって、簡単には変わらない。1期目ですぐ実現は難しいが、2期・3期と重ねることで、市民の状況と今まで継続して行われてきた行政を見て、より良いマニフェストに直していくことで実現させていく。財政の問題は、どこを削るか、痛みを分けるか考える必要がある。ともに市民に選ばれた市長と議会が議論し、調整していかなくてははならない」

内田雄造さん
内田「川越市で問題になっていることは、大きく2つある。一つは市民の意向を街づくりや都市計画行政にどう反映するかで、もう一つは中心市街地を活性化するためにタウンマネージメントはどうするのか。例えば、今問題になっている市庁舎の川越駅西口移転。どういう手続きがとられ、市民の意向はどのように反映されたのか、移転先の西口の街の構造が変わってしまうこと、市役所が移転された後に中心市街地ががらりと変化することはどう考えるのか」

溝尾良隆さん
溝尾「川越に住んでいて、5年後・10年後の顔が分からない。コンパクトにまとまった街を作っていくべきなのに、現実には国・県・市の施設は郊外に出てしまっている。これまで市は、跡地周辺や移転先の具体的手だてをしないままスプロール化(無秩序・無計画な開発)を進めたのではないか。今後魅力的な街づくりをするには、既に街として出来上がっている高階・霞ヶ関・南古谷地区などを中心市街地のサテライト的な街に発展させ、互いがネットワークを作っていくことが大事。車を使わず自転車や徒歩で生活できるようにすれば、人口流出をくい止めることができるのではないか。また、市全域にある歴史的な遺産や豊かな緑などの観光資源を活かせば、近隣の人がのんびりと訪れられる観光地が出来上がるはず。地域の特色を活かしたメリハリのある開発が望まれる」

新津重幸さん
新津「市の第3次総合計画に基づき、市や商議所など各団体が様々な事業の計画を立てて活動しているが、それには実効的な成果が要求される。例えば、国交省の観光ルネッサンス事業で各団体が活動してきたが、これは一つのステップでしかない。さらに前進させて体系化し、5年後に事業をどういう形で集約・進化・連動させるかのスキーム(組織立った計画)が足りない。国や県は川越に大変注目しているのだから、もっと勉強すべきだ。川越は観光だけでなく、優れた産業構造や中小企業の職能を持っている。それぞれを、どう連動して『川越』というブランドを確立していくのかを考えなければいけない」

川越の将来を考えるシンポジウム会場の参加者「川島町に住んでいますが、合併問題が止まったままです。川越市から見て川島町はどういう位置づけなのか」

会場の参加者「ローカルマニフェストの実現には、地方分権や財政委譲がきちんとなされていなければ難しい。また、主権者である住民が地方自治体としての在り方を『逆マニフェスト』で提言し、候補者はそれを汲み入れて政策を進めなければ住民本位の政治は成り立たない。住民に『自分は川越市民だ』という意識を持ってもらうようにすることも、重要な政治課題では。また、合併を考えるとき、地方自治体として適正な規模とはどの程度のものなのか」

会場の参加者「私は一日の大半を都内で過ごす『川越都民』ですが、30年住んで『第二の故郷』にしたいと考えています。一番街の交通規制や市庁舎移転を例にとってみても、街を良くしていくには違う立場の人たちが譲り合っていく必要があると思います。行政は市全体を総合的に考えてデザインしたものを、ブレークダウン(分類し細かく分析)して市民に浸透させる努力をすべきでは」

笹森清さん
笹森「川越市の年齢別人口構成は全国平均と比べ今はまだいいが、10年後・20年後を考えると極端な高齢化が懸念される。その準備ができていない。川越市は2003年に中核市になったが、5年経ってみて、それにふさわしい街になったとは言えない。市政をチェックできる場である市議会の中継もされないなど、問題は多い」

溝尾良隆さん
溝尾「小さな街を切り捨てていくような平成の合併には基本的に反対の私だが、圏央道や広大な土地がある川島町は、頭を下げても合併したい魅力がある」



内田雄造さん
内田川越にまちづくり条例制定の動きがあるのは良いが、開発やマンション立地の問題に市民の意向をどう反映していくかのシステム作りが今、問われている。郊外に分散発展している霞ヶ関や南古谷地区などと中心市街地をどうネットワークしていくのか、歴史資産をどう関連付けて活かしていくのかなど、タウンマネージメントをどこが責任を持ってどの様にやっていくのかが問題。市庁舎移転にしても、川越駅西口が適地の一つであることは事実だが、街全体の構造を議論する必要がある。地方分権や政令指定都市の問題も、一般論ではなく川越の具体的な問題に沿って考えるべきべき」

笹森清さん
笹森「連合会長時代に全国を見て回ったが、川越は歴史と伝統に恵まれ農・工・商のバランスが取れた街だと痛感する。県内で一番初めに市になったことで開発も早く、霞ヶ関地区など開発されてから30年・40年も経っている中心市街地に限らず高齢化は激しいが、それをどう活気のある街にしていくのか」

新津重幸さん
新津「川島町は、私が市長だったら三顧の礼を以て迎えたい。産業育成や福祉、土地の有効活用など市として考えなければならない問題もあるが、中心市街地と郊外連携と環境保全を考えると現在の川越市だけでは足りない。川島の持っている潜在力は魅力的だが、それをどう活かすかのスケジュールとビジョンをどう示すかが問題。中心市街地と郊外を連携させないと観光都市として発展できない」

井上昌子さん
井上「人をいかに育て活用していくかが重要。「公」と「私」の中間的な存在として川越のことを考え自発的に活動しているNPOやボランティア団体などが、もっと具体的なアクションを起こすよう変わっていかなければならない。行政が、若い人材を活用できるようなシステムを作って人づくりをしていかなけれないけない。外からの刺激を受けて客観的に見られる「川越都民」の人材が活用できていない。児童相談所の開設など中核市になったが故にできるようになったことも多く、一つひとつ着実にやっていくべき」

曽根泰教さん
曽根国から来るお金が決まるのが遅いために、自立的なマニフェストが書けないでいる状態は地方分権とは言えない。市民も、何でも行政に押しつけて組織を肥大化させるのではなく、第三者組織で分担できるものは担っていくべき。市議は市民に成り代わって市長のマニフェストをチェックする役割を、きちんと果たさなくてはいけない。質問しているだけではダメだ」

市民も討論に参加
会場の市議「二元代表制における議会の役割は、市の予算や条例などを決める議事機関としての機能だけではなく、市政や市長に対して牽制したり監視・監査・調査することだと思う。市民にきちんと話が伝わっていないことが多いのは、議会の責任でもあると感じています」


笹森清さん
笹森「来年1月には市長選がありますが、市民の考えが行政にフィードバックできるよう逆マニフェストについて勉強を重ねて提言し、選挙後もちちんと実行されているか検証を続けていきたいと思います」


 最後に一言 
溝尾「川越を良くしようと活動している人の、ネットワークをつくっていきたい」
内田「川越のことを考える人は、自分たちの意向と意志をはっきり示しましょう」
新津
「市全体をうまく活用し、どこを『川越の顔』にしていくのか、皆で議論していく必要がある」

井上「市政に対し、きちんとした裏付けを持った提案を、どんどん出してほしい」
曽根地方分権は官から官へ委譲するものではなく、官から民(市民・マーケット・NPOなど)に委譲することの方が重要。市民からエネルギーやアイデアが湧き上がるシステムを作ることだと思います」
笹森「『川越に住んでて良かったなぁ、住んでみたいね』と思う街に、市民が自分たちの気持ちでつくっていくような街にしたいと思います」

 川越のビデオなども上映 
 この日、幕間には昭和55年に川越青年会議所が制作したビデオ「川越に生きる」や、8月に小江戸川越ビデオ大賞に選ばれた若目田正治さんの「小江戸の韻」も上映されました。また、この日のシンポジウムの模様は、10月27日〜11月2日の13時〜15時と深夜1時〜3時に、川越ケーブルテレビ(デジタル111チャンネル)で放映される予定です。

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